河内英司のBtoBコミュニケーション

広告/マーケティングの側面からと、無駄話。

広告効果

効果的なプロモーションサイトの作り方

BtoBコミュニケーション Q&Aシリーズ⑲

《質問》

弊社では昨年からインターネット広告に注力しています。現在は広告をクリックすると弊社WEBサイトの所定のページにジャンプする仕組みで対応していますが、その効果が具体的に把握できません。確かにインターネット広告を行う以前よりも少しだけアクセス数が増えたようですが、それが弊社の受注にどれほど寄与しているのかまったく不明です。インターネット広告を行う場合、現状のようなやり方でよいのか、それとも特設ページを作る必要があるのか(予算の関係上難しい面もありますが)ご教授いただければ幸いです。またインターネット広告での効果測定はどのようにすればいいのか併せて教えていただきたく、よろしくお願いします。(機械加工メーカー)

 《回答》

まずインターネット広告の効果については本誌の201411月号をご覧いただければと思います。一言で言えば私の個人的な見解では少なくともBtoB業界においてはインターネット広告の効果は期待できないと理解しています。

さてご質問の内容を少し整理してみたいと思います。インターネット広告は一般の新聞広告や雑誌広告などと同様にいわゆる「広告」です。しかし新聞広告などと異なってそのコンテンツは極めて希薄であり、説得力もありません。その意味ではたとえば新聞広告で言えば「突き出し広告」と同様の機能しか持っていないと考えられます。

そこで重要なのがインターネット広告からどのようなページにジャンプさせるかです。御社がなされているような、通常のビジネスサイトの所定のページにリンクするやり方はかなりイージーでありあまり効果は期待できません。つまりこの方式では単に検索エンジンの代わりにインターネット広告を用いているに過ぎないのです。

BtoB分野でのクロスメディアの観点から見れば、いわゆる新聞、雑誌、テレビなどのマスメディアでの広告で商品が売れることはまずありません。これらのメディアの活用目的は各社様々ですが、ブランディングや商品の告知、見込み客の獲得などに留まっています。話はそれますが、これらのマスメディアから得られた見込み客を顧客に変換する装置としてじつは「展示会」が存在します。あるいは見込み客に対する営業活動(フェイスツーフェイスでの商談)もその刈り取りに重要な役割を演じます。

この流れから見ると、インターネット広告は内容の希薄な広告でありそれだけでは見込み客は得られません。だから所定のページにジャンプさせてそこで商品や技術の詳細を述べて見込み客を得る仕組みになっています。いわば二段構えの広告戦略とも言えますし、穿った見方をすれば無駄の多い広告活動とも言えます。

ではどのようなページにジャンプさせるのが効果的なのか考えてみたいと思います。前述のように広告から得られた見込み客を顧客に変換するために展示会や営業活動が必要になります。それならば、インターネット広告からジャンプさせるページは十分な営業力を持つページでなければなりません。いわゆるスペシャルサイトとかプロモーションサイトと言われる特設ページがそれにあたるわけです。ここでは当該商品や技術・サービスの内容を分かりやすく理解してもらうために、図表や動画などを充分駆使しなければなりません。何しろ通常営業と異なってフェイスツーフェイスの商談ができないわけですから、それに匹敵するくらいの説得力を持つサイトでなければならないのです。

ここで注意しなければならないのは、商談現場のプロセスを無視してやたら画像を大きく扱ったり動画をふんだんに使ったりすることです。そのようなサイトでは訪問者は視線移動が激しくなり整理された形で情報伝達ができないため、記憶にも残らず当然説得力もなくなります。あくまでも商品やサービスを売ることが目的ですから、実商談のプロセスを尊重し起承転結を明確にして丁寧に述べることが大切です。

しかしコミュニケーション達成率から考えても、営業担当による商談能力以上のサイト構築は事実上非常に困難だと言わざるをえません。たとえば営業担当がフェイスツーフェイスで1時間かけて商談する内容を特設サイトで構築すれば気が遠くなるほどのページ数が必要になり、読み手もすべて網羅して読んでくれるとは限りません。そこで威力を発揮するのが映像なのですが、残念ながら現状ではWEBサイト上での映像表現に優れたスキルを持つ人材が極めて少ない問題があります。

そしてもっと重要な問題がここに秘められていることに気がつきます。十分に営業活動に匹敵できるサイトがもし構築できるなら、何も特設サイトやスペシャルサイトなど気にせずにすべての商品やサービスをスペシャルにすればいいのです。当然コンテンツ量も数倍に膨れあがりますし、それなりの制作コストも必要になるでしょう。しかしその一方で、貧弱なコンテンツよりも遥かに検索エンジンにヒットされやすいポジティブな側面が生まれてきます。

現在インターネットはほぼ飽和状態にあり、WEBサイトへの訪問数や引き合い(見込み客)数も右肩上がりではなくなっている状態です。いわば企業におけるインターネットビジネスの限界がそろそろやってきたとも言えますし、それを打開するためにも従来のような画一的なCMSを利用したコンテンツ制作から一歩前に出て、すべての商品やサービス、さらには企業そのものをもっとダイナミックにスペシャルサイト化すべき時代になってきていると考えます。

しかしここまでコストをかけてスペシャルサイト化したところで、BtoB業界ではWEBサイトで直接受注に結びつけることは極めて希です。と言うことは、どんなに優れたサイトであっても、購買プロセスから見れば所詮は広告と何ら変わりがないとも言えます。

インターネット広告の効果測定についてですが、ずばり見込み客の獲得数になります。コスト効率を考えるならサイト構築に費やしたコストを獲得見込み客数で割れば算出できますし、その数値の推移を追いかけていくことが効果測定の原点になります。訪問者数が多いとか、特定のページでの滞留時間が長いなどは効果測定には何の影響も与えません。

一方で見込み客を顧客化(受注する)するには展示会か営業活動を待たなければなりません。そこで重要なのは展示会にしろ通常営業にしろいわゆる対面営業のスキルが問題になってくることです。多くの作業がデジタル化された現在、対面営業のスキルの低下が各社とも顕著になっています。その原因はここでは述べませんが、どんな優れた広告であってもWEBサイトであっても、最終的な見込み客の刈り取り能力がなければこれらに投下したコストはすべて無駄になってしまいます。その意味でも、まず営業担当の商談力の強化(セリングの強化)が今重要な時期だと思っています。

 

インターネット広告の効果について

BtoBコミュニケーション Q&Aシリーズ⑭

《質問》

私はある機械メーカーの宣伝担当ですが、最近コスト効率の観点から印刷メディアの広告をインターネット広告に切り替える動きがあります。私自身はまだまだ印刷メディアの広告にこだわりを持っているのですが、最近、インターネット広告が新聞広告を凌駕したなどのニュースを盾に、上長はインターネット広告を推し進めるつもりです。そこでお尋ねしたいのですが、インターネット広告にはどれほどの効果があるのでしょうか? またインターネット広告を行う際に気を付けなければならない点などご教示いただければ幸いです。(機械メーカー・宣伝担当)

《回答》

最近あちこちからご指摘のような話しを耳にします。まるでインターネット広告を早くやらねば時代に乗り遅れる、と言うような焦りすら感じることがあります。

これはあくまでも私個人の私見としてですが、ズバリ申し上げて、BtoB業界ではインターネット広告の効果はほとんどないと思っています。

その理由は、メディア論的な観点から見れば、確かにインターネット広告は広告取扱高(いわゆる広告料金)については最近新聞広告を追い抜いたとされています。しかしこれはあくまでも広告料金の総額です。昨今の経済状況から新聞広告は広告料金の低下が数年前から顕著になっています。一方でインターネット広告はその時代性や人気の高さから、広告料金は漸増しつつあります。これらのバイアスをキャンセルもしないで、単に広告料金の総額だけでメディアの優位性を論じるのはあまりにも早計だと思っています。

さらに問題なのは、BtoB業界で「インターネット広告に切り替えて受注が増加した」という話しが一向に聞こえてこないことです。私のメディア論から言えば、少なくともBtoB業界では広告で商品の受注が促進されることはありません。あくまでも見込み客の獲得がその効果として現れるだけです。そして少し論点がずれますが、それらの見込み客を受注に結びつけるのが、セールスであり、そのツールであるカタログ。そして最強のメディアが展示会なのです。

広告効果を論じる際に、このように各メディアの役割分担を明確にした上でそれぞれの効果を見ていかなければならないのです。またインターネット広告は言いかえればWEBサイトの広告効果と同一と見なすことができます。BtoB業界では広告ほどではありませんが依然としてWEBサイトでは商品は売れません。あくまでも見込み客の獲得が第一の目標になります。

一方で新聞広告の場合はどうでしょう。昔なら広告の右下や左下に小さな三角の問い合わせシールがあり、それを葉書に貼ってカタログ請求などをしたものです。つまりこれが見込み客からの引き合いと言うことです。ところが現在では広告に三角のシールなどどこにもありません。インターネット時代の今、広告の引き合いも最終的にはWEBサイトに到達するのです。このことからインターネット広告であっても新聞広告であっても見込み客からの引き合いはWEBでカウントされることになります。

cpmの視点から見ると制作原価やメディアコストが少ないインターネット広告に分がありそうです。しかしくどいようですが、いくらcpmが低くても受注に結びつかなければまったく意味はありません。

インターネット広告はおそらく原稿制作費も安価でしかも手短に制作できる(これは後述しますがモノによります)ため、ログを解析することによってあたかもコスト効率が良いような錯覚を覚えます。しかしインターネット広告の場合は、クリック一発で当該WEBにアクセスできます。この簡便さが問題なのです。とりあえず見てみようというインターネット広告がどれほど多いか……。そんなアクセスはなんの役にも立ちませんが、広告担当者はアクセスが増えたと喜ぶわけです。

BtoCの場合は、いわゆる「衝動買い」が期待できますから、ある程度インターネット広告の効果は否定できません。しかしBtoBの場合は、何らかの目的意識を持ってネットに向かい情報検索します。まさに真剣勝負です。そんなときにサイト画面の横あたりにチラチラ出てくるインターネット広告には見向きをする暇もありませんし、むしろ煩わしいくらいです。検索サイトの上位に表示されるリスティング広告(「PR」と表示されたり色分けされている)はヒット数に応じた価格設定で一見効率的なようですが、私の場合はそこに「PR」などと表示されている広告はあえてクリックしません。真剣に情報検索しているのに、「PR」表示のリストをクリックして目的とする情報にありつけたことはほとんどないからです。あらはあくまでも「広告」であって、情報検索中には煩わしい広告など不要なのです。

ところで上述したようにインターネット広告の制作費は安価にできると言いましたが、リスティング広告にしてもバナー広告にしてもそれ自体は確かに低価格で制作できます。しかし問題は、これらの広告からジャンプした後の自社サイトの企画にあります。酷い場合はインターネット広告をクリックすると当該企業のトップページにリンクされているケースがありますが、これはインターネット広告を大きく誤解しています。

もし仮にインターネット広告を行うのであれば、自社サイトにはそれに呼応した「プロモーションサイト」を構築すべきでしょう。つまり自社のビジネスサイトとは別にプロモーション用のサイトを作ることを意味しますが、これはたとえば新聞広告で得られた引き合いに対して営業担当がカタログ持参で営業活動を行うスタイルに代替できるものです。そうなると、余程の説得力と懇切丁寧な内容をUI(ユーザーインターフェイス)をもとに構築しなければなりません。これはそう安価にできるものではなく、場合によると数百万円以上かかってしまいます。要するに結局インターネット広告を有効に採用するとなれば、広告費以外に多額のプロモーションサイトの制作費が必要になってくるのです。

しかも問題はこれらのプロモーションサイトの制作コストもじつは上述したインターネット広告の広告取扱高に編入されている場合もあります。こうなるとますますインターネット広告全盛というイメージが出来上がってしまうのです。

最後にインターネット広告の今後の課題についてひとつ。たとえば少女が誘拐されたなどと言う悲劇的な事件の記事の横に、無神経で楽しそうなインターネット広告が表示される場合が多々あります。自動的に掲載ルーチンを設定されているのがその原因だと思いますが、その広告主のブランドイメージが大きく毀損されることに気づかなければなりません。そろそろ社会倫理の観点からこのような状況を見直す時期に来ていると思います。

以上、BtoB業界におかれては慎重にインターネット広告に取り組まれた方がいいと思いますし、常にその効果(アクセスした見込み客の優劣判定)を追い続けることが大切だと考えます。

 
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河内英司(かわちえいじ)
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京都教育大学教育学部特修美術科卒業。電気機器メーカーにおいて一貫して広報宣伝業務に従事。広報室長・コーポレートコミュニケーション室長を経て、2014年3月退職。  現在、カットス・クリエイティブラボ代表。(一社)日本BtoB広告協会アドバイザー。BtoBコミュニケーション大学校副学長。(独)中小企業基盤整備機構 販路開拓支援チーフアドバイザー
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