河内英司のBtoBコミュニケーション

広告/マーケティングの側面からと、無駄話。

ツイッター

新BtoB社会におけるコミュニケーションとASICAモデル(1/5)

1.CGMが促進する社会の組織化
 

 ツイッターやフェイスブックが花盛りだが、このようないわゆる個人が自由に情報発信するCGMが社会における新たな組織化に強力に作用している。

個人ブログも含めておそらく読者の皆さんも某かのサイトを定期的に閲覧、書き込みをされているだろう。そして人それぞれが特定のサイトをブックマークしている。
あくまでも仮説であるが、仮に「A」「B」「C」のブログやツイッターに関与している人と「D」「E」「F」のそれに関与している人とでは微妙に価値観や生活観が異なっていると思われる。
人は自分に似たようなパラダイムを持つ人や意見に無意識のうちに吸引される。そして知らず知らず仮想の組織化がなされる。つまりCGMが社会における新たな組織化を促していると言うことだ。しかも関与しているそれぞれの人は互いに相手の素性を知らないままである。
ブログなど実名で公開されておればある程度ブログ主の素性はわかるが、それに参加する閲覧者同士は全くの赤の他人であるにもかかわらず、妙な連帯感がわいてくる。
 

CGMによる組織化には二通りある。一つは匿名であるツイッターや実名匿名さまざまなブログに群がる形態。もう一つは実名やプロフィールをさらしてそれこそお友達として承認された人だけが参加できるフェイスブックだ。
我が国ではまだフェイスブックはツイッターに比べて人口比で見る利用者は半分程度と言われているが、おそらく近いうちにその数字は拮抗してくるだろう。ツイッターやブログによる組織化が無意識のパラダイム共有であるのに対して、フェイスブックは能動的で堅固な組織化が可能になると思われる。
いずれにしても、ネット社会における仮想組織(フェイスブックは現組織ともいえるが)は今後ますます助長されていくだろうし、マーケティングの側面から見てもこの新たな組織化は重要な課題をもたらすはずである。

 

2.フェイスブックの可能性

 

実名や所属、趣味など個人のプロフィールを明確にした上で組織を形成するフェイスブックは、まだ未確認ではあるがBtoBマーケティングに大きな効果をもたらすと考えられる。
現状を見てみるとまだまだツイッターとの差違が明確ではないが、字数制限もなく実名であるが故に個人のメッセージを強力に発信できるメディアは、考えようによってはBtoB企業での顧客訪問や顧客を巻き込んだコラボレーションの可能性すら見えてくる。

筆者はASICAモデルの最終段階である「購買」でのメディア展開で、顧客の囲い込みにプライベートサイトの構築やビジネスSNSの有用性を説いたが、もしかするとフェイスブックでこれらをひとまとめに対応できるかも知れない。
たとえばある営業担当が自分の抱える顧客をお友達として承認しフェイスブック上で通常営業を行うことや新製品発表が可能になる。とりわけ新製品に関してはその感想やアプリケーションなど逐一複数の顧客とやりとりすることも可能だ。

ここで興味深いのは、ある顧客から提示された課題が別の顧客によって解決されたり、また新たな課題提供のきっかけになる見込みが考えられることだ。これが進化すれば顧客とのコラボによる新製品企画のトリガーになるかも知れない。
つまりASICAモデルの課題探索段階はもとより、その後の検証や同意段階もある程度は有効性が生まれてくると思われる。しかし、営業担当によるあまりにも辛辣な売りの姿勢はかえって顧客に辟易されるだろうし、顧客側もどこまで本音を言っていいものやらまだしばらくは助走期間が必要だろう。フェイスブックという新たなBtoB営業ツールを使いこなすためのリテラシーが、ベンダー側でも顧客側でも求められるのだ。フェイスブック自体もまだまだいわゆるBtoC社会でのコミュニティメディアとして位置づけられているが、将来、BtoBビジネスに特化した仕組みやアプリが開発されれば大化けする可能性のあるメディアと考える。
 

さらに同じような観点で、インターナルコミュニケーションのツールとしても見逃せない。部署ごとにアカウントを設定して当該部署の所属員をお友達とすればいい。こうすれば部員の行動把握はもちろん場合によっては日報のアーカイブとすることも可能だろう。もう一歩進んで勤怠管理アプリなどがあれば、もうフェイスブックひとつで部員の管理は万全になるかも知れないし、タイムラインでのコミュニケーションを通じて、部内におけるASICAモデルの課題探索からソリューション提案、検証、同意までがカバーできる可能性はある。

新BtoB社会の到来とマーケティングの行く末

昨年チュニジアのジャスミン革命に端を発した北アフリカの民主化運動は、BtoB社会のこれからのありかたを見る良い機会だった。ソーシャルメディアが急速に普及しながらも、それが企業あるいは国民一人一人にどのような影響を与えるのか、明確な結論を得ない中でおこったこの事件は、Twitterなどが持つメディア力をまざまざと見せつけた。

まったく面識のない人々同士がTwitterを触媒としてあたかも一つの頭脳を持ったような行動パターンを誘発する。この現象は独裁国家のみならず一応民主的だと思われている我が国も含めて、先進諸国でも最大の組織である国家の運営において大きな課題を投げかけた。ここまで行かなくてもすでに我が国ではBtoC社会が崩壊し、新たなBtoB社会が到来しつつあることを機会あるごとに述べてきた。

「個」の組織化(BtoB化)を行う触媒となるのは何もTwitterだけではない。あらゆるメディアが交錯している現在、しかもCGMといわれる誰もが情報発信できる仕組みの中では、個人個人が無意識下で特定の思想や見識に誘導される可能性は十分ある。原発事故後のマスコミ対応とは裏腹にCGMによってさまざまな情報が公にさらされ、その真偽が問われているが、今となってはどうもCGMに分がありそうだ。

マスメディア全盛の時代は、良い意味でも悪い意味でも世論誘導は比較的簡単だった。一時期話題になった劇場型政治などその典型だろう。しかしCGMが今後ますます普及することを考慮すると、もはやマスメディアによる世論誘導はまったく不可能になる。それがマスメディアの信頼性低下につながり、替わって人々は独自に構築した自分だけのネットワークにある情報だけを頼りにする。こうしてさまざまなネットワークにつながれた見ず知らずの人たちが、無意識下で組織化されてしまうのだ。もうすでに若年層では携帯ネットワークなど極めて強固な組織が出来上がっている。

こうなればBtoC分野では今までのような「個」の価値観を重視したコミュニケーション活動はほとんど効力がないと考えて良い。最近広告が効かないとかものが売れないという声を耳にするが、すでに社会全体がBtoB化し、個の意識が希薄になりつつあることを考えれば当然とも言える。

メディアの多様化に伴い縦横無尽に生成される虚構の組織化、つまりBtoB化がすでに始まっている。ここでは純粋な個の意識はさして重要ではなく、組織化された個がどのような意識を持つのか、が今後広告やマーケティング分野での大きな課題になる。何とも頼りないあの人が、どうして国をひっくり返す闘志を持ったのか、など群衆心理の研究は、BtoBコミュニケーションの魅力あるテーマだ。
こうなるとBtoBマーケティング分野では今までのように経営学一辺倒ではなく、社会心理学や組織心理学、さらには個と組織を絡めた精神分析学などの学際的な取り組みが求められてくるだろう。
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河内英司(かわちえいじ)
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京都教育大学教育学部特修美術科卒業。電気機器メーカーにおいて一貫して広報宣伝業務に従事。広報室長・コーポレートコミュニケーション室長を経て、2014年3月退職。  現在、カットス・クリエイティブラボ代表。(一社)日本BtoB広告協会アドバイザー。BtoBコミュニケーション大学校副学長。(独)中小企業基盤整備機構 販路開拓支援チーフアドバイザー
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