3.プロダクトコミュニケーション

BtoB企業にとって商品やサービスが最大の露出機会であることは意外と見過ごされている。BとC企業には遠く及ばない広告宣伝予算で、そのほとんどがカタログや展示会などのプロモーションツールで消化され、必然的にマスメディアを利用したブランド露出は制限されてしまう。

そんな中で、実はもっともエンドユーザーとの接触を保っているのがこの商品やサービスなのである。これはブランドコミュニケーションにも大いに関係するのだが、たとえば、「あなたは昨日見たテレビや新聞で、○○会社はどんな広告をしていましたか?」と問われた場合、ほとんどの人は明確に答えられないであろう。ここで言う○○会社がたとえBtoC分野の誰もが知っている企業であったとしてもだ。

言うまでもなくブランド形成における広告の役割は、その累積記憶度が大きく影響する。ブランド認知から記憶にまで昇華させるには、気が遠くなるほどの広告露出機会があって初めて可能になる。

一方上記の質問に代えて「あなたは○○会社にどんなイメージを持っていますか?」との質問では、接触機会のある企業に対してはほとんどの人が答えることができる。しかしここで想起されるブランドイメージはどのようにして形成されているのだろう。

おそらく過去に購入経験があった商品やサービスに対する何らかのイメージが、潜在的に影響しているものと思われる。あるサービスマンの理不尽な対応や想定外の商品の不具合がその企業のイメージを著しく損なってしまうのは誰もが経験することである。

このように商品やサービスが我々に与えるブランドイメージは、広告のそれとは比較にならないくらい重要な役割を演じている。その意味でも、商品やサービスに対する質の向上はブランド形成の最重要課題と言える。

またたとえBtoB商品であっても、心地よい作業空間の提供という観点から製品デザインにも一通りの質を与えるべきだろう。潤沢な広告宣伝予算を持たないBtoB企業にとっては、製品やサービスそのものがマスメディアであると捉えることができるし、それと接触したエンドユーザーそのものがまたメディアとなってブランド形成に一役買ってくれるかも知れない。